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とりあえずのぶろぐ

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題詠blog2014に投稿した100首

題詠blog2014で詠んだ全100首です。

綿毛には意志があるから君を待つロータリーにもタンポポが咲く (001:咲)
思慮というよくわからないもののためあまい言葉をひとつ飲みこむ (002:飲)
育つとは大きくなることではなくてもう戻れなくなることである (003:育)
宝島見つけるための手始めに地図の入った瓶をさがそう (004:瓶)
間違えておしるこを押しちゃったようなその表情が返事なんだね (005:返事)
哀愁を帯びたい人はお近くの乗務員までお知らせください (006:員)
業務上快楽致死の疑いでお前を逮捕する「業務上?」 (007:快)
落ち込んだ時に優しくしてくれる人が好きです原理的には (008:原)
寝室で蛹のように冬を越しいずれ僕らは成虫になる (009:いずれ)
校長の白い言葉を吸い込んでまた朝礼で僕は倒れる (010:倒)

階段の錆びた手すりにまたがって僕を呼んでる職員室へ (011:錆)
指先の影とわたしの指先を結ぶ延長線上の朝 (012:延)
しかたなく信じた嘘を美しく丸めたような龍のひげの実 (013:実)
俺たちは手分けして犬を探した「花壇に犬を入れるべからず」 (014:壇)
夕日より朝日の方が艶っぽい寝坊をすると見れないなんて (015:艶)
捜査線上に浮かんだ二十個の点を結ぶの手伝ってくれ (016:捜)
0円のスマイル提供サービスはなくなり次第終了します (017:サービス)
黄昏の応援団は帰り道小声できみを応援します (018:援)
あの人は妹がいる私にはいないだから二段ベッドじゃない (019:妹)
風圧に抗いながら立っている中央分離帯の幽霊 (020:央)

千羽鶴折るから紙に山折りと谷折り線を描いてください (021:折)
今吐いた溜息は今週末に関東地方に接近します (022:関東)
岸君は保護者の欄に守護霊の名前を書いたデ・ラ・メアらしい (023:保)
夕焼けが君にもらったマフラーの繊維のすき間ひとつひとつに (024:維)
逃げていたインコが今朝帰って来た少しがっかりした表情で (025:がっかり)
朝焼けの応援団は徹夜明けハイなあなたを応援します (026:応)
これ以上もめるようなら燃えさかる炎のように俺は謝る (027:炎)
少しだけ甘くて苦い嘘をつくパンにマーマレードを塗るように (028:塗)
キャンベルのスープを開ける音がするどうやらここは天国らしい (029:スープ)
噴水の底にきらきら光るのは一円玉のような満足 (030:噴)

二人にはまだ秋の夜は長すぎてひたすら栗を剥く人になる (031:栗)
黄昏にモグラ叩きと向かい合う手には正義の鉄槌を持ち (032:叩)
あの川で今日も水切りしてるのは連絡網にいない友だち (033:連絡)
僕がいま題詠してる唯一の理由はたぶん寂しいからだ (034:由)
もし僕がイブに死んだら原因はうらやま死だと思っておくれ (035:因)
校庭の少女たちを待つ教室にふわりとひとつしゃぼん玉とぶ (036:ふわり)
披露宴会場にあるロウソクの芯をすべて湿気させてやる (037:宴)
中華屋のおやじは今日も怒ってる「アリガトマタネ!」と手を降りながら (038:華)
君は鮭、鮭なんだろう梅は俺、さっき鮭って言ったじゃないか (039:鮭)
この星を奇跡の星と言うけれど火星にはある火星の奇跡 (040:跡)

一生にどの瞬間も一度だけ その話もう何度も聞いた (041:一生)
作文の題は「尊敬する人」でずっと妖怪ウォッチのはなし (042:尊)
物知りでお天気博士で鉄オタの彼のあだ名はヤフーになった (043:ヤフー)
王様がおもらしをしたこのまんま発表会が始まればいい (044:発)
この知識いらないんじゃない選手権 三位桑畑の地図記号 (045:桑)
国民の幸福のため法案は賛成多数で保留されます (046:賛)
二丁目の元コーナンのバッティングセンター跡の空き地に埋めろ (048:センター)
流行に追いつく僕の半分を岬めぐりのバスに乗せよう (049:岬)
中央値(メディアン)と最頻値(モード)とが一致するわりと平均的な愛撫だ (050:頻)

たいせつなぼくとひろきのあかちゃんをあげるからなかないでせんせい (051:たいせつ)
横顔を抱いて眠れば携帯が青く戒めのように光る (052:戒)
藍鬼は青鬼よりも少しだけ言葉がわかるのです愛とか (053:藍)
「鬼退治?古い話だ」じいさんは少し照れくさそうに笑った (054:照)
許すとか許さないとか飛び越えたいっそ芸術的な言い訳 (055:芸術)
ジャニーズのライブ帰りを狙うんだ余熱で惚れるかもしれないぜ (056:余)
午前二時県道沿いの空き家から聴こえるという僕の悪口 (057:県)
コンニャクとスパムを入れて日本一惨めな味のカレーを作る (058:惨)
あの時の手紙は読み返さないで裏の畑で僕が泣くから (059:畑)
同じこと前にもたしか言ったよねどうか一生懲りないでいて (060:懲)

真夜中の倉庫で今日も脱出ができずに箱を押す音がする (061:倉)
ウェルカムトゥジャパンアイムユアパートナーワンフォーザマネーツーフォーザショー (052:ショー)
病院に俺が運んでやったんだ 一回だけど百回聞いた (063:院)
教室でブルーハーツを聴いてると窓の外には妖精がいた (064:妖)
わが軍の勝利を祝し青空の神様に向け祝砲を撃て (065:砲)
空腹やさみしさを忘れるための四角い紙を持っていますか (047:持)
水玉のパジャマ見たことない寝ぐせ君は宇宙からの侵略者 (066:侵)
少年という言葉もつ歌ばかり写した青い手帳を燃やす (067:手帳)
ローソンの角を曲がって三つ目のビルです沼は避けてください (068:沼)
女神さまピアスを持って現れて 排水口をのぞきこんでる (069:排)
さらさらの反対はしっとりなのにかさかさの反対はべたべた (070:しっとり)

縁側でお茶を飲みつつ木星の模様について語り明かそう (071:側)
お父さんいつもお仕事ありがとう正真正銘月の石です (072:銘)
副都心ビルの谷間を休日のスパイダーマン気取りで歩く (073:谷)
スーパーの特売棚に並んでる柿は夕焼け色だと思う (074:焼)
盆踊り大会を告ぐポスターが貼られた路地に北風が吹く (075:盆)
隣からいつも夜中に漏れてくる優しい声がほのかに嫌い (076:ほのか)
二列目の、両手にチョコを持っている、聡明そうなお子さんですね  (077:聡)
二年前あの神棚にセットしたぼた餅がまだ落ちてきません (078:棚)
この世には絶対なんて絶対にないからたぶん絶対泣ける (079:絶対)
二時からの会議までには絶対に捜し出すんだ社長の椅子を (080:議)

いつだって笑っていよう網棚に大事なものを忘れたまんま (081:網)
新しいチェックのシャツを買いに行く古いチェックのシャツを羽織って (082:チェック)
縁日の射的の的に校長のフィギュアを置いたやつ前に出ろ (083:射)
妻夫木というよりちょっと垢抜けた中大兄皇子に似てる (084:皇)
生徒指導室の窓から盗み見るスカイツリーは遥かに霞む (085:遥)
一番の短歌の魅力は何ですか? ゲロ吐きそうに苦しいところ (086:魅)
私を故意に喜ばせた人は罰金または結婚に処す (087:故意)
これからはずっと一緒に暮らすのに行きたい場所が七つしかない (088:七)
お祝いのスピーチは徐々に熱を帯び煽動的な演説となる (089:煽)
真っ白な布に真っ赤な丸を描き棒をつけたらパタパタと振れ (090:布)

苦しさが少し美しさに似てる歌の展覧会へようこそ (091:覧)
舐めるのはいいけど食べちゃだめなんて切手のように君は勝手だ (092:勝手)
印象派『ある印度象の肖像』の印象はまあ印度の象だ (093:印)
僕たちはおはようさようならという見えないものに雇われている (094:雇)
運命を溶かして固め色を塗れ人目に晒せマダム・タッソー (095:運命)
猫型の自動機械が鳩尾の袋から出す翻訳蒟蒻 (096:翻)
太陽が見えない場所で落ち合って感光しないことを話そう (097:陽)
いま少し頬の毛が逆立ってます不吉なことを感じる器官 (098:吉)
夏休み宿題界を揺るがした観察日記虚構問題 (099:吉)
少しだけ笑って投げた直球が最後だと僕にはわかってた (100:最後)
by swim2nd | 2014-12-04 01:06 | 短歌